粗利率を1ポイント上げる——現場でできる4つの打ち手
売上を10%増やすのは大変です。一方、粗利率を1ポイント上げるのは、実はもっと現実的です。そして、利益へのインパクトは決して小さくありません。
年商3億円、粗利率30%の会社であれば、粗利率が1ポイント上がると粗利は300万円増えます。同じ効果を売上で出そうとすると、3,000万円以上の増収が必要です。今日は、現場でできる4つの打ち手を整理します。
粗利率の改善は、我慢や値切りではありません。どこで利益が漏れているかを特定して、そこだけを直す作業です。
その前に:粗利率を「分解」する
打ち手の前に、必ずやることがあります。全社の粗利率だけを見ていても、改善点は見つかりません。次の切り口で分解してください。
- 商品・サービス別
- 顧客・取引先別
- 担当者別
- 受注経路別(紹介、飛び込み、ネット経由など)
分解すると、必ず極端に低いところが見つかります。多くの場合、全体の1〜2割の取引が、粗利率を大きく引き下げています。
打ち手① 赤字・低採算の取引を洗い出す
最も効果が早いのがこれです。分解した表の下位から順に、次の判断をします。
- 値上げを申し入れる
- 仕様や納期の条件を変える(短納期対応をやめる、ロットを上げる)
- それでも合わなければ、取引の縮小を検討する
注意点として、単純な粗利率だけで切らないでください。技術の維持、他の受注への波及、繁忙の平準化。数字に出ない役割を担っている取引もあります。そこも含めて判断します。
打ち手② 見積のやり方を変える
粗利が薄い原因が、見積の段階にあることは非常に多いのです。よくあるのは次のパターンです。
- 原価に決まった率を乗せているだけで、案件ごとの難易度が反映されていない
- 過去の見積を流用しており、材料費の上昇が反映されていない
- 付随作業(設計変更、現地確認、打合せ)が無料になっている
3つ目が特に見落とされます。サービスでやっている作業を、一度すべて書き出してみてください。有償化できるものが、必ず見つかります。
打ち手③ 仕入・外注の条件を見直す
仕入先を叩く、という話ではありません。長く取引していると、条件が惰性で続いていることがあります。
- 数量をまとめることで、単価が下がらないか
- 複数の仕入先に分散しているものを、集約できないか
- 外注している工程のうち、内製化できるものはないか(逆に、内製より外注が安い工程はないか)
相見積を取ること自体に価値があります。現在の条件が妥当かどうかを、定期的に確認するという姿勢が大事です。
打ち手④ ロスと手戻りを減らす
最後は、現場の話です。粗利は、作業のやり直しで確実に削られます。
- 不良・手直しの発生件数と、その原因を記録する
- 材料の端材や廃棄量を、月次で把握する
- 仕様の確認漏れによる手戻りを、チェックリストで防ぐ
ここは、記録を取り始めるだけで数字が改善することがある領域です。測られていると意識するだけで、現場の注意が変わるためです。
月次で追いかける
改善を続けるには、月次で粗利率を見る習慣が要ります。前述の分解表を、月に一度更新してください。決算のときにしか見ないのでは、手を打つ機会が年に一度しかありません。
おわりに
粗利率の改善は、地味な作業の積み重ねです。派手さはありませんが、売上を追うより確実で、再現性があります。
まずは分解表を作るところから。作り方が分からなければ、ご相談ください。