事業再構築補助金と新事業進出補助金、違いを整理する
新しい事業に取り組みたい経営者から、「事業再構築補助金と新事業進出補助金、どちらを申請すればいいですか」というご質問をいただくことがあります。名前が似ているうえに、どちらも新分野への挑戦を支援する制度なので、混乱するのも無理はありません。
今日は、両者の考え方の違いを整理します。ただし補助制度は年度ごとに要件・公募回・名称が変わります。最新の公募要領を必ずご確認いただき、この記事は考え方の整理としてお読みください。
制度の違いを覚えることが目的ではありません。自社の計画が「どちらの物語に乗るか」を見極めることが目的です。
出発点の違い
ざっくり言えば、両者は「なぜ新しいことをするのか」という動機の置き方が異なります。
- 再構築の系譜:既存事業の環境が厳しくなった。だから事業の柱を組み替える
- 新事業進出の系譜:既存事業は継続する。そのうえで、新たな市場に打って出る
同じ「新商品を出す」という計画でも、既存事業の縮小が前提なのか、成長投資なのかで、書くべきストーリーがまったく変わります。
審査で見られるポイントの違い
動機が違えば、審査で厚く見られる点も変わります。
- 組み替えを支援する制度では、既存事業の状況と、転換の必然性が問われやすくなります
- 進出を支援する制度では、新市場の規模と、自社が勝てる根拠が問われやすくなります
ここを取り違えると、内容は良いのに評価が伸びない、ということが起こります。
選ぶ前に確認したい3点
どちらを狙うか決める前に、次の3つを整理してください。
- 既存事業をどうするのか:縮小するのか、維持するのか、拡大するのか
- 投資の規模:制度ごとに補助上限・補助率・対象経費の範囲が異なります
- 実行体制:新事業を担当する人を、社内から出せるのか、採用するのか
この3つが決まっていれば、どちらの制度が向いているかは自然に絞られます。逆に、ここが曖昧なまま制度から入ると、計画書が「補助金のための作文」になってしまいます。
そもそも補助金を使うべきか、も検討対象
あえて申し上げますが、補助金を使わないという選択も、常にテーブルの上に置いてください。
- 公募から交付決定までには相応の時間がかかります
- 採択されても、原則として先に支出し、後から精算されます
- 実績報告や事業化状況報告など、事後の事務負担があります
タイミングを優先すべき事業なら、融資やリースで先に始めたほうが結果的に良い、というケースもあります。
共通して効く準備
どちらを選ぶにせよ、次の準備は共通して効きます。
- 新事業の売上計画を、単価×数量に分解しておく
- 想定顧客に、実際にヒアリングした記録を残しておく
- 設備や外注の見積を、複数社から取っておく
特に2つ目。顧客に聞いた事実が書かれている計画書は、机上の推計だけの計画書より、はるかに説得力があります。
おわりに
制度は変わりますが、「なぜやるのか」「どう勝つのか」という問いは変わりません。まずそこを固めてから、その時々の制度に当てはめる。この順番でいきましょう。
制度選びの段階から、ご相談を承っています。