採用できない中小企業が、まず変えるべきは求人票
「求人を出しても応募が来ない」──中小企業の経営者から、最も多くいただく悩みのひとつです。人手不足は構造的な問題であり、簡単に解決するものではありません。
ただ、待遇や知名度を変える前に、手をつけられるところが一つあります。求人票の書き方です。同じ会社、同じ条件でも、書き方を変えただけで応募が動いたケースを、私は何度も見てきました。
求職者は、求人票を1件あたり数十秒しか見ていません。その数十秒で伝わる情報になっているか。ここが分かれ目です。
改善点① 「仕事内容」が抽象的すぎる
よくあるのが、「製造業務全般」「一般事務」といった書き方です。これでは、応募者は入社後の自分を想像できません。想像できないものには、応募できません。
書き直しの基本は、1日の流れを具体的に書くことです。
- 8:30 朝礼・当日の段取り確認
- 9:00 加工機のセット、部品の加工(1日およそ○個)
- 12:00 昼休憩(社内食堂あり)
- 13:00 検査・記録、翌日の準備
- 17:30 片付け・終業(残業は月平均○時間)
これだけで、応募者の頭の中に映像が浮かびます。抽象的な魅力より、具体的な日常のほうが人を動かします。
改善点② 「求める人物像」が理想論になっている
「向上心があり、コミュニケーション能力の高い方」──こう書かれた求人票を、よく見かけます。ですが、これを読んで「自分のことだ」と思う人は、ほとんどいません。
かわりに、実際に活躍している人の特徴を書いてください。
「入社3年目のAさんは、前職は飲食業でした。未経験でしたが、細かい作業が苦にならない性格で、今では検査の中心になっています」──こう書かれていれば、似たタイプの人が「自分でもできそうだ」と感じます。
改善点③ 不安に先回りしていない
3つ目が、最も効果が出やすいポイントです。応募をためらわせるのは、魅力の不足ではなく不安です。
中小企業への応募で、求職者が抱く典型的な不安は次のようなものです。
- 少人数だと、人間関係が合わなかったときに逃げ場がないのでは
- 教えてくれる人がいるのだろうか
- 残業や休日出勤が、実際はもっと多いのでは
- この会社は、10年後も続いているのだろうか
これらに、求人票の中で先回りして答えます。「入社後3か月は、先輩が専任でつきます」「昨年度の平均残業は月○時間、有給取得率は○%です」「主要取引先は○業界の企業で、取引年数は平均○年です」。
数字で答えると、信頼度が一段上がります。
あわせて見直したい2点
- 写真:建物の外観ではなく、働いている人が写っている写真を。表情が見えるものを選んでください
- 応募方法:履歴書の郵送だけ、という条件は応募のハードルを大きく上げます。まず話を聞くだけの面談も受け付ける、という入口を用意してください
採用は、辞めない人を採るまでが仕事
最後に一点。応募を集めることだけを目的にすると、実態と違う良いことばかりを書きたくなります。これは逆効果です。
入社後のギャップは、早期離職に直結します。大変な部分も正直に書いたうえで、それでも来てくれる人を探すほうが、結果的に採用は成功します。
おわりに
求人票の書き直しは、費用がかかりません。時間だけで取り組める、数少ない打ち手です。今日ご紹介した3点だけでも、見直してみてください。
自社の魅力の言語化からご一緒することもできます。