経営戦略 2026.05.08 by 呑海 賢次

中期経営計画、3年後を描けない会社の共通点

記事イメージ:中期経営計画、3年後を描けない会社の共通点

「3年後の姿を描いてください」と申し上げると、多くの経営者が手を止めます。決してビジョンがないわけではありません。日々の判断はできているのに、いざ紙に書くとなると出てこない。これには、はっきりした理由があります。

今日は、中期経営計画が作れない・続かない会社に共通する3つの要因と、A4一枚から始める作り方をご紹介します。

3年後が描けないのは、想像力の問題ではありません。「今の延長」と「意志による変化」を分けて考えていないだけ、というケースが大半です。

共通点① 「予測」と「意志」を混ぜている

最も多いのがこれです。3年後の数字を考えるとき、市場環境や取引先の動向を予測しようとして、不確実性の多さに圧倒されてしまう。

順番を変えてください。まず「どうなりたいか」(意志)を決め、そのあとで「そのために何が要るか」(手段)を考えます。環境予測は、手段を選ぶ段階で使う材料であって、目標を決める材料ではありません。

共通点② 数字が一本の線でしか描かれていない

「3年で売上1.5倍」という目標だけがあり、その中身が分解されていないパターンです。分解されていない目標は、日々の行動に落ちません。

最低限、次の分解はしておきたいところです。

  • 既存顧客からの売上と、新規顧客からの売上
  • 既存商品と、新商品・新サービス
  • 単価の変化によるものと、数量の変化によるもの

この3軸で分けると、「1.5倍」の正体が見えてきます。既存の単価を1割上げ、新規を年10社ずつ増やす。そこまで分解できれば、来月やることが決まります。

共通点③ 計画を見る場がない

3つ目は、作ったあとの話です。立派な計画書を作っても、その後どこにも登場しなければ、半年で存在を忘れられます。

必要なのは、四半期に1回、30分の振り返りの場です。参加者は社長と幹部数名で構いません。議題は3つだけ。

  • 計画に対して、今どこにいるか
  • ずれているとしたら、原因は何か
  • 次の3か月で、何を変えるか

A4一枚から始める

最初から30ページの計画書を作る必要はありません。次の6項目をA4一枚に収めるところから始めてください。

  • ① 3年後に実現したい状態(言葉で3行)
  • ② 3年後の売上・粗利・従業員数
  • ③ そのために強化する事業と、縮小・撤退する事業
  • ④ 必要な投資(設備・人・システム)とおおよその金額
  • ⑤ 今期に必ずやり切る3つのこと
  • ⑥ 進捗を確認する日程

この6項目が埋まっていれば、金融機関との対話にも十分使えます。分量ではなく、意志と根拠が書かれているかが見られています。

おわりに

中期経営計画は、当てるためのものではありません。ずれたときに、ずれたと気づくためのものです。基準がなければ、軌道修正のしようがありません。

A4一枚を埋めるところからで構いません。壁打ち相手が必要でしたら、お声かけください。

あわせて読みたい(経営戦略)

← ブログ一覧へ戻る

戦略の壁打ち相手が必要なときに

考えを整理するところから、ご一緒します。