経営革新計画、承認を取ると何が変わるか
経営革新計画という制度をご存じでしょうか。中小企業が新事業活動に取り組む計画を作成し、都道府県知事等の承認を受ける制度です。
「承認を取っても、お金がもらえるわけではないでしょう」──その通りです。承認自体に補助金は付きません。それでも取る価値がある理由を、今日はご説明します。なお制度の詳細や支援措置は自治体・年度により異なりますので、最新情報は窓口でご確認ください。
経営革新計画の本当の価値は、承認そのものではなく、承認を取るまでに考え抜いた計画のほうにあります。副次的な効果として、金融や信用面の後押しが付いてくる、という順序です。
そもそも、何を計画するのか
大枠としては、自社にとって新しい取り組みを計画し、数年後の経営指標の向上を目指す内容になります。
「新しい」の範囲は、思われているより広く取られています。
- 新商品・新サービスの開発
- 新しい製造方法・提供方法の導入
- 新しい販売方式や、新たな市場への進出
重要なのは、業界初である必要はないという点です。自社にとって新しい取り組みであれば、対象になり得ます。この点を誤解して、最初から諦めてしまう会社が少なくありません。
効果① 金融面の後押し
承認を受けた計画に対して、政府系金融機関の特別な融資制度や、信用保証の別枠などが用意されている場合があります。
それ以上に実感として大きいのは、民間金融機関との対話が変わることです。第三者の承認を受けた計画書があるということ自体が、一定の説明力を持ちます。
効果② 補助金申請での評価
各種補助金の審査において、経営革新計画の承認が加点要素とされることがあります。
また、承認申請のために作った計画書は、そのまま補助金の事業計画書の土台になります。一度作っておけば、その後の申請作業が大幅に楽になる、という実務的な利点があります。
効果③ 信用力と、社内の求心力
取引先や採用の場面で、公的な承認を受けた計画があることは、一定の信頼につながります。ホームページや会社案内に記載している会社も多くあります。
そして、意外に大きいのが社内への効果です。計画が承認されたという事実は、社員にとって分かりやすい前進のしるしになります。会社が本気で新しいことに取り組んでいる、というメッセージが伝わります。
申請の進め方
一般的な流れは、次のようになります。
- ① 都道府県の担当窓口、または商工会議所・商工会に相談
- ② 計画書を作成(新事業の内容、数値計画、実施体制など)
- ③ 事前相談を重ね、内容を練り上げる
- ④ 正式に申請、審査を経て承認
③に時間がかかります。相談開始から承認まで、数か月を見込んでおいてください。「補助金の締切に間に合わせたい」という動機で始めると、たいてい間に合いません。
計画づくりで押さえるポイント
- 新しさを、自社基準で説明する:これまで何をしていて、何が変わるのかを対比で書く
- 数値計画に、根拠を持たせる:単価×数量に分解し、前提を明記する
- 実施体制を具体的に:誰が担当し、必要な人員や設備をどう手当てするか
- リスクと対応も書く:想定通りにいかない場合の代替策があると、計画の質が上がります
承認後の対応
承認を受けると、計画の進捗について報告を求められる場合があります。作りっぱなしにはできない仕組みになっている、ということです。
これは負担のようでいて、計画を継続的に見直す強制力として機能します。年1回、必ず計画と現実を突き合わせる機会になる、と捉えてください。
おわりに
経営革新計画は、承認を取ること自体が目的ではありません。本気で考えた計画を、第三者の目で確認してもらう機会です。
計画づくりの段階からのご相談も承っています。